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ニセコ不動産バブルは終焉したのか?~政府統計で読み解く2025年の市場実態~

要約

インバウンド観光と海外投資を原動力に拡大を続けてきたニセコ不動産市場。しかし、ここ数年で状況は転換期を迎えつつあります。本レポートでは、国土交通省の地価公示データや観光統計など、信頼性の高い公式データに基づいて、「バブルは本当に終わったのか?」を検証し、今後の市場動向を展望します。

1. 地価の推移(2019~2024年):倶知安町とニセコ町

出典:国土交通省 地価公示データ

年度倶知安(住宅地)倶知安(商業地)ニセコ(住宅地)
2019+10.0%+11.0%+6.5%
2020+6.3%+6.2%+3.4%
2021+2.5%+1.1%+1.0%
2022+1.8%+1.8%+1.1%
2023+1.8%+1.7%+1.0%
2024+9.7%(反発)推定+7.5%+2.3%
  • 2014~2020年にかけては+40〜50%以上の急騰。

  • 2021~2023年は年+1.8%前後で安定推移。

  • 2024年は倶知安に一時的な反発も、バブル期ほどの勢いはなし。

結論:地価の急上昇は2020年以前でピークアウトし、その後は安定成長フェーズへ。

2. 観光客数とインバウンドの回復状況

出典:観光庁、北海道宿泊旅行統計

年度外国人宿泊者数(ニセコ町)総宿泊者数(全体)
2019約95,000人約150万人
2020COVIDで急減約35万人
2021緩やかに回復約80万人
202225,137人(公式)約110万人
202359,124人約140万人
202470,000人超(想定)150万人以上
  • 外国人観光客数はコロナ前に未達。

  • ただし、国内観光の需要が全体の宿泊数を支え、既にコロナ前水準へ回復。

結論:インバウンド依存型リゾートから、国内需要も支える“二本柱”型へ転換。

3. 外資系開発:数は継続も選別的に

出典:北海道庁、倶知安町・ニセコ町の公開資料

2018~2024年にかけての主な外資系プロジェクト:

  • Setsu Niseko(シンガポール)

  • Chatrium Niseko(タイ)

  • La Plume(香港)

現在も50件以上の外資系開発が継続中。
ただし、投資の方向性は「富裕層向けの持続可能性」や「長期滞在・ウェルネス型」へ。

結論:外資の勢いは健在。ただし投機ではなく“戦略的・持続型”へのシフトが進行。

4. バブル期 vs 現在の市場構造比較

指標バブル期(2015~2020)現在(2021~2025)
年間地価上昇率+10~20%+1~3%(2024年を除く)
購入者層短期売却目的長期保有・ライフスタイル志向
開発スタイル急速・大量開発慎重・選別型開発
観光構成比外国人7割国内外ほぼ半々
リスク水準高リスク安定・中程度

結論:公式指標が示す通り、バブル的な高騰期は終了し、市場は成熟フェーズへ。

5. 今後のリスク要因

  • 建設費高騰:人件費・資材価格の上昇が利益圧迫要因に。

  • 労働力不足:観光施設の運営に支障を来す可能性。

  • 環境規制:国立公園内の開発規制が強化される見通し。

  • 為替の不安定性:円安/円高が外国人投資家心理に影響。

  • 持続可能性問題:オーバーツーリズムに対する地域反発も。

6. 投資家への提言:成熟市場での次なる戦略

  • 暴落ではなく「正常化」への移行と捉えるべき。

  • 利回りは縮小傾向も、資産価値の上昇余地は残る。

  • グリーンシーズン観光やリモートワークにより稼働率は分散化。

  • 2030年頃予定の北海道新幹線・倶知安駅開業により中長期的な価値安定が期待。

総括:公式データが示すニセコ市場の今

過去5年の政府統計を踏まえると:

  • 急騰期(=バブル)は2020年までに終了。

  • 市場は崩壊せず、構造的に安定化・成熟化。

  • 今後は「短期転売狙い」より「長期的ライフスタイル型投資」が主流に。

ニセコの未来は、過剰な熱狂ではなく、バランス・持続性・戦略性にこそある。

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