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第一カッター興業株式会社(東証:1716):株式分析|2025年8月時点の評価と見通し

第一カッター興業株式会社(東証:1716):株式分析|2025年8月時点の評価と見通し

August 18, 2025

1. はじめに

第一カッター興業株式会社(東証スタンダード:1716)は、コンクリートの切断やはつり、ハイドロデモリション(高圧水による除去工法)、さらにはインフラの予防保全サービスを手がける分野のリーディングカンパニーです。

橋梁・道路・プラントなど、日本全国で老朽化が進む社会インフラに対して、安全性・精度・効率性を兼ね備えた施工を実現しており、同社の専門性はインフラ維持に不可欠な存在となっています。

また、自社開発の専用機材や工法、高度な技能を持つ技術者集団を活かし、環境負荷の低減や作業の効率化にも注力。安全性・環境配慮・高品質を軸とした事業モデルにより、業界内で確固たる地位を築いています。

2. 株価推移

過去14か月の間で、第一カッター興業の株価は2024年半ばに1,653円の高値を記録したのち、継続的な調整局面に入りました。

  • 2024年7月4日の高値:1,653円

  • 2025年8月18日時点の株価:1,320円(ピークから約20%の下落)

株価下落の背景(2024年7月〜2025年8月)

  1. 2024年8月に発表された決算内容が市場予想を下回る

    • 売上・営業利益ともに前年を下回り、成長トレンドに一服感が出たことが失望材料となりました。

  2. 中期戦略の柱である「予防保全型サービス」の本格展開に遅れ

    • 収益化のスピードが鈍く、短期的な業績押し上げ効果に懐疑的な見方が広がりました。

  3. 2023年度の好業績による投資家期待の反動

    • 2024年の高値は過去の成長期待を織り込んだ水準とされ、期待先行で買われすぎていた側面も指摘されています。

  4. 小型建設株への資金流出

    • マクロ経済の不透明感や公共投資の停滞を背景に、建設・インフラ関連の中小型株全体に調整圧力がかかる相場環境が続いています。

  5. バリュエーションの見直し

    • 業績成長の見通しがやや鈍化する中で、一時的な割高感の修正が進んだとみられます。

総じて、長期的な成長ポテンシャルは維持しつつも、足元では短期的な利益成長に対する投資家の目線がやや厳しくなっていることが、株価の調整につながったと考えられます。

3. 財務・事業概況

主な財務指標(単位:百万円)

会計年度売上高営業利益当期純利益EPS(円)配当(円)営業利益率純利益率
2022年6月期20,9492,5021,580138.82811.9%7.5%
2023年6月期22,1642,6311,946172.03511.9%8.8%
2024年6月期20,9182,4551,973174.43811.7%9.4%

業績分析

  • 2024年6月期は減収減益となり、前年度比で売上高は5.6%減。大型公共工事の完了と新規サービスの立ち上がりの遅れが影響しました。

  • 営業利益は6.7%減少。固定費の負担増や部品・材料費の上昇が収益を圧迫しました。

  • 一方で純利益は微増。税務面での効率化やコスト管理が奏功し、純利益率は9.4%まで上昇しました。

  • 売上の鈍化にもかかわらず、利益率は総じて安定しており、同社のオペレーショナルな堅実さが表れています。

  • ROEは9.8%前後を維持しており、自己資本比率も約67%に改善するなど、財務体質も引き続き良好です。

資本政策と株主還元

  • 設備投資では、バッテリー式機材や自動化対応装置への投資を継続。作業効率と環境負荷低減の両立を図っています。

  • 配当金(DPS)は3年連続で増配:
     28円 → 35円 → 38円 と着実に推移しており、中期経営計画で掲げる「30%以上の配当性向」の方針と整合的です。

4. 戦略的ポジショニングと中期経営計画(2025年6月期〜2027年6月期)

第一カッター興業は、2024年に発表した中期経営計画において、「高効率かつテクノロジー主導のインフラメンテナンス専業企業」への進化を掲げています。
既存のはつり・切断分野にとどまらず、より持続的で付加価値の高い事業構造への転換を進める方針です。

2027年6月期に向けた定量目標:

  • 売上高:245億円

  • 営業利益:24.5億円

  • ROE:10%以上

  • 配当性向:30%以上を継続

戦略的重点施策:

  • 予防保全型サービスの拡大
     従来の「壊す仕事」から「守る仕事」へ。定期・継続的なメンテナンス契約の拡充を図り、収益の安定化を目指します。

  • DX・AI・自動化への投資強化
     施工現場の省人化・効率化を推進し、同業他社との差別化を一層加速します。

  • 地方都市・未開拓地域へのM&Aによる展開
     関東圏外を中心とした地域展開に注力し、地場企業の買収・連携により商圏を広げます。

  • 次世代型切断・表面処理技術の開発
     独自技術による高難度案件への対応力を高め、単価・付加価値の向上を狙います。

  • 技能者の確保・育成プログラムの強化
     慢性的な人手不足に対応すべく、社内教育やキャリア形成支援を拡充。現場力の底上げを図ります。

5. 同社の強み・競争優位性

  • 高精度なコンクリート切断・ハイドロデモリションで国内トップシェア
     高速道路や橋梁、プラント設備の改修工事で求められる“精密なはつり”領域において、圧倒的な実績と信頼を有しています。

  • 自社開発の専用機材と独自工法で、高い施工効率と安全性を両立
     特許取得済の技術や装備により、作業スピード・品質・現場の安全性において他社との差別化を実現しています。

  • 橋梁・トンネルなど公共インフラ分野での厚い信頼
     官公庁・自治体との取引が多く、長年の施工実績と対応力が高く評価されています。

  • 業界に先駆けたロボット・DX導入で、生産性と対応力を強化
     人手不足が深刻化する中で、自動化技術の活用により一人あたりの生産性向上と技術継承を推進中。

  • 全国に拠点を展開し、地域密着型の施工体制を構築
     関東を中心に北海道から九州までカバーしており、迅速な対応と安定的な案件確保につながっています。

6. 主なリスク要因

リスク項目説明
収益の変動リスク工事ベースのビジネスモデルであるため、案件の発注タイミングにより四半期ごとの売上・利益にばらつきが生じやすい傾向があります。
人材確保の課題高度な技能を要する現場が多く、熟練技術者の採用・育成は引き続き業界共通の課題です。
テクノロジー導入の実行リスクAIやDX(デジタル化)への取り組みは進んでいるものの、効果が想定より遅れる可能性や、導入後の運用定着に時間を要するリスクもあります。
M&Aの統合リスク地方企業との連携や買収を進める中で、想定していたシナジー(相乗効果)が得られない可能性があります。
海外展開の限定性事業の大半が国内に依存しており、グローバル分散によるリスクヘッジが難しい構造となっています。
 

7. 総括・投資判断

2024年6月期には一時的な業績の伸び悩みが見られたものの、第一カッター興業の事業基盤は依然として堅固です。予防保全や自動化へのシフトといった戦略の方向性は極めて合理的である一方、収益化のスピードが投資家の期待にやや追いついていないことが、足元の株価調整につながっています。

一方で、現在の株価(1,320円前後)は以下のようにバリュエーション面で魅力的な水準と考えられます:

指標数値(FY2024ベース)
PER約7.6倍
PBR約0.8倍
配当利回り約2.9%
ROE約9.8%

これらの指標からは、「防御型ポートフォリオ」を志向する投資家にとってやや割安感のある銘柄であると読み取れます。2025年6月期は過渡期的な年となる可能性もありますが、中長期的に見れば、収益の質・財務の健全性・ニッチ市場での競争優位が評価され、再び上昇軌道に乗る余地があると見られます。

投資判断:

中立〜やや強気(HOLD〜MODERATE BUY)

以下のような投資家に適した銘柄といえるでしょう:

  • 安定した配当を重視する方

  • 国内インフラ関連への分散投資を検討している方

  • DXを活用した中長期成長ストーリーに期待する方

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